【雑記】その21 論理学と数学 その1 -命題と論理結合子-
気になったことを書き連ねていきます
第21回です
お久しぶりですね
突然ですが皆さん、数学はお好きですか?
「んな訳ねえだろ!」という声が聞こえてきそうですね
もちろん私も嫌いです
では質問を変えてみましょう
皆さん、「世界の正しさ」を知りたいですか?
ということで今回は、そんな「世界の正しさ」を求める学問、数学――もとい論理学について解説していきます
論証と命題論理
皆さん、「命題」は知ってますよね
数Iに出てくるあれですね
私の手持ちの参考書には命題についてこう書いてあります
「正しいか正しくないかが定まる文や式」
例えばこんな感じです
"x≦1ならば、|x|≦1である"
これは勿論偽の命題です
反例はx=-2とかですね
ですが、論理学的に言うと命題はこういったものだけではありません
学校で習いましたよね
「1000は大きい数である」は比較対象によって変わるから命題ではない、と
しかし論理学では違います
論理学における命題は、「真か偽かを決めることができる文や式」です
上の平叙文は、"観測者"が1にいるなら真、10000にいるなら偽ですね
このように「真か偽か決めることができる」ので、上の文は命題ということになります
さて、論証の前にもう少しだけ命題について説明させてください
あと、ここから「命題」は特に表記のない限り「論理学における命題」を表します
命題は合体させることができますね
"雨が降る"と"風が強い"という2つの命題を合わせると、"雨が降っていて風も強い"という新たな命題ができます
このとき"雨が降る"などは単純命題、それらを合わせたものは複合命題といいます
また、このときこの複合命題は"(雨が降る)かつ(風が強い)"と表せます
これについては少し後でまた解説しますね
そしてここらで「真理表」に関しても説明しておきますね
命題には真と偽があります
このときこの真と偽を「真理値」と呼びます
ちなみにこのことを「2値原理」といいます
そのまんまですね
さて、この真偽値ですが、普通は真,偽ではなくT,Fや1,0などと表します
ここでは最後ので統一しますね
この真理値を表に表したものを「真理表」といいます
真理値の組み合わせは、命題が2つなら2²=4通りですね
こんな感じです
table:真理表
P Q
1 1
1 0
0 1
0 0
簡単ですね
これが論証を行う上で重要な武器となります
少し話は変わりますが、論理学は、個々の命題の内容を考えずに、説明の方法が正しいか正しくないかを研究する学問です
記号化することにより、日常言語の孕む感情や曖昧さを排除するのです
つまり、論理学は数学の元となっているものではありますが、哲学に近くも遠くもあるものだと言えますね
5つの論理結合子
先ほど「命題は合体できる」と言いましたが、その働きをする記号が5つあります
意外と簡単なので怖がらないであげてください
①選言(論理和)
まずは選言です
論理和の別名の通り、イメージは足し算です
さて、選言とかよくわからない言葉を使っていますが、わかりやすく言うと「または」です
記号は∨です
集合の時にやった∪と似てますね
選言の真理値は、
table:真理表
P Q P∨Q
1 1 1
1 0 1
0 1 1
0 0 0
となります
要はPかQかのどちらかが真であれば、P∨Qも真になるわけです
例えば、
"太陽は東から登る、または、月は西から登る"
は、Pは真ですがQは偽ですね
そのため、P∨Qは真となります
②連言(論理積)
次は連言です
論理積の別名の通り、イメージは掛け算です
わかりやすく言うと「かつ」です
記号は∧です
集合の時にやった∩と似てますね
連言の真理値は、
table:真理表
P Q P∧Q
1 1 1
1 0 0
0 1 0
0 0 0
となります
要はPとQの両方が真であるときのみ、P∧Qは真になるわけです
例えば、
"太陽は東から登り、かつ、月は西から登る"
は、Pは真ですがQは偽ですね
そのため、P∧Qは偽となります
③否定
次は否定です
これは簡単ですね
記号は〜です
集合の時には文字の上に ̄をつける感じでしたが、実はこんな表記をしてるのは日本の高校くらいです
専門書では¬Pと表記されることが多いですが、〜Pでも問題ありません
否定の真理値は、
table:真理表
P ~P
1 0
0 1
となります
要はPの真理値を逆にするだけです
例えば、
"(太陽は東から登る)ことはない"
は、Pは真ですから〜Pは偽となります
思ったんですけど「でない」と"deny"って似てますよね
どうでもいいですね
④条件法
これちょっと難しいです
「PならばQである」と言う感じのものを想像していただければまだわかるんじゃないでしょうか
記号は→です
ちなみにこのときPは前件、Qは後件と呼ばれます
Pを仮定するとQが導かれる、って感じです
んでこれなんですけども、P→Qの真理値を定めるのが難しいんですね
日常生活に落とし込んでみると、かなり決めづらいのです
一番わかりやすい例はこれでしょうか
「刑事は"A君が犯罪を犯したならば、A君は必ず逮捕される"と言った」
場合分けして考えてみましょう
(i)PもQも真のとき
これは刑事の言ったことが実際に起きたので、当然真ですね
(ii)Pが真、Qが偽のとき
これは刑事が嘘を言ったことになるので、当然偽です
(iii)Pが偽、Qが真のとき
これはちょっとこじつけ感もありますね
でも一応
A君は犯罪を犯していないのに逮捕されてしまいました
しかし、刑事は「A君が犯罪を犯していない」場合については言及していません
だから別に刑事は嘘をついたわけではないので、真です
(iv)PもQも偽のとき
別に何も起こってないので普通に真です
これを整理するとこんな感じです
table:真理表
P Q P→Q
1 1 1
1 0 0
0 1 1
0 0 1
ちょっと覚えづらいですね
とりあえず前件が偽、後件が真のときのみ偽となると思っててください
⑤双条件
これは余裕です
「Pのときに限りQである」
ということです
記号は⇄です
双条件の真理値は、
table:真理表
P Q P⇄Q
1 1 1
1 0 0
0 1 0
0 0 1
となります
両方の真理値が同じであれば真となります
ちなみに⇄を≡と表すこともあります
練習
練習問題です
簡単です
わかったら私に言ってください
褒めます
出てくる命題はP、Q(、R)の順番でお願いします
次の命題を論理記号で示せ
1.A君は成績が上がったら、お小遣いをもらい、遊びに行く
2.B君は真面目だが、柔軟性に欠ける
3.先生の教え方が悪いか、生徒の努力が足りないと、生徒の成績は悪くなる
以下ヒントです
「PまたはQ」はP∨Q、「PかつQ」はP∧Q、「Pでない」は~P、「PならばQ」はP→Q、「PのときのみQ」はP⇄Qです
また、「PかつQならばR」みたいなのは文脈的に判断して、以下の二通りの表記ができます
「(PかつQ)ならばR」のとき、(P∧Q)→R
「Pかつ(QならばR)」のとき、P∧(Q→R)
どうです?
解けましたか?
とまあ今日のところはこんな感じです
次回は複合命題についてもうちょっと詳しく解説し、高校数学とリンクさせた話もしようと思います
ではまた